2-3 有機質肥料施用土壌中のアミノ酸生成
図23-1は、茶園土壌に菜種油かす又は魚かすを混合し、施用後2週間後と3週間後の土壌に含まれる遊離アミノ酸濃度を測定した結果6)です。魚かすに比べ菜種油かす施用土壌で多くのアミノ酸が生成されていました。これは畝間表層上に菜種油かす、魚かすを10a当たり5,000kg施用した場合に相当する遊離アミノ酸の消長を示しています。菜種油かす施用土壌中で最も多いロイシンでは施用後21日目に150ppm、最も少ないアルギニンでも10ppm存在しています。アミノ酸生成量の少なかった魚かすでも数ppm~50ppmのアミノ酸が生成されていました。菜種油かすでは全遊離アミノ酸態窒素の全窒素に対する割合が、7、14および21日目にそれぞれ0.78、1.12および4.33%でした。魚かすは菜種油かすに比べて土壌中の分解が速く、遊離アミノ酸としての存在量が少なかったと考えられます。ぼかし肥を土壌に加えて畑状態で培養すると、硫安より僅かに多い傾向にはありましたが、アミノ酸態窒素生成量は、土壌に添加された窒素量の0.2~1.4%でしかなく、N100mg/100土壌の施肥量で、アミノ酸に換算して最大15ppm程度の量でした17) 。
表23-1は、菜種油かすが大量に施用されている玉露園の畝間表層土壌に含まれる遊離アミノ酸濃度です。土壌採取時期は11月中旬、施肥後2ヶ月以上経過した時点でも、アミノ酸の種類によって0.3~1.3ppmの濃度で含まれていました6)。ここに示された、土壌中アミノ酸濃度をどう見るか?図23-1は、有機質肥料を5トン/10a相当の施用量です。施用後21日目の菜種油かすでは最高150ppm程度のアミノ酸が検出されました。施肥量を200kg/10aに換算すると、6ppmとなります。この全量が土壌溶液中(土壌中に存在する水)に存在したと仮定すると、土壌溶液中濃度は約30ppmです。スライド25で紹介するトマトを用いた水耕栽培での試験では、培養液にアミノ酸を10数~20ppm添加しています。表23-1の例では、土壌溶液に全量存在したとしても数ppmです。これをどう見るか・・。 |