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新有機質肥料講座(総論編)ページ14/57
1-11 有機質肥料の施用効果(露地)米澤70)は、まずポット試験によってキュウリ、ナス、ピーマンについて有機質肥料の施用効果を検討しました。その結果、何れの作物においても有機質肥料区の収量は硫安に及びませんでした(データ省略)。次に圃場試験によってスイカとニンジンについて、有機質肥料の当用効果(生育・養分吸収量・収量・品質)を検討し、表14-1と表14-2の結果を得ました。有機質肥料区の収量はスイカ、ニンジンともに無機区に及びませんでした。スイカでは、有機質肥料の窒素無機化率を60%と仮定し、不足する40%分を同じ有機質肥料で増施する区も設けています。窒素量を合わせた場合の有機質肥料区の収量は無機区の半量でしたが、増施した有機質肥料区は、無機区には及ばないまでも収量が改善されました。ニンジンでは、少肥での有機区/無機区に比べ、多肥では有機区/無機区の差が小さくなっています。反面、スイカの糖度やニンジンのカロテン含量は有機質肥料区の方が良い結果が得られました。また、米澤70)は露地圃場において5作の有機質肥料連用試験を行い、表14-3のような結果を得ました。試験区の構成は硫安単用、菜種油かすなど3種の有機質肥料と硫安の併用、菜種油かすの単用です。1作目タマネギでは、硫安区の収量に対し、菜種油かす単用では75%で無窒素区と変わりませんでした。有機質肥料と硫安の併用区でも81~96%です。3作目キャベツでは、無機、有機の差は顕著に現れています。一方で2作目と4作目のニンジンでは、菜種油かす単用でも硫安区の95%以上の収量が得られています。作物の種類は異なっていますが、冬作での有機質肥料は無機肥料に及ばないが、夏作では無機肥料に近い収量が得られたと考えられます。地温の高い夏作に比べ冬作では地温が低く、有機質肥料の窒素無機化率は夏作より冬作の方が低いと考えられます。そのために、冬作の有機質肥料区の収量は無機区より大きく劣ったと考えられます。当用効果を見た表14-1と表14-2の結果も有機質肥料の窒素無機化特性が大きく影響したと考えられます。多くの試験が示す有機質肥料の肥効は無機肥料に及ばないという結果73, 74, 75)と一致しています。いわゆる有機入り化成肥料と言われる無機、有機両方の窒素を含む肥料の存在価値は、まさにこの部分にあります。 |
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新有機質肥料講座(総論編)トップページ | |||||
有機質肥料と有機質資材の関係 | ・・・・・・・・・・ | 1 | |||
有機質肥料の働きと効果 | ・・・・・・・・・・ | 2 | |||
第1章 土壌中での分解特性から見た有機質肥料の肥効と安全性 | ・・・・・・・・・・ | 3 | |||
1-1 有機質肥料の窒素無機化 | ・・・・・・・・・・ | 4 | |||
1-2 無機化した窒素の硝酸化成_ | ・・・・・・・・・・ | 5 | |||
1-3 有機質肥料の硝酸化成抑制作用 | ・・・・・・・・・・ | 6 | |||
1-4 無機化に及ぼす地温の影響 | ・・・・・・・・・・ | 7 | |||
1-5 無機化に及ぼす土壌水分の影響 | ・・・・・・・・・・ | 8 | |||
1-6 畑地と水田での無機化特性の比較 | ・・・・・・・・・・ | 9 | |||
1-7 施肥時期と窒素無機化 | ・・・・・・・・・・ | 10 | |||
1-8 窒素肥効に及ぼす油脂の影響 | ・・・・・・・・・・ | 11 | |||
1-9 有機質肥料の無機化特性(まとめ) | ・・・・・・・・・・ | 12 | |||
1-10 有機質肥料の窒素肥効 | ・・・・・・・・・・ | 13 | |||
1-11 有機質肥料の施用効果(露地) | ・・・・・・・・・・ | 14 | |||
1-12 有機質肥料の連用効果(ハウス) | ・・・・・・・・・・ | 15 | |||
1-13 有機質肥料の発芽抑制作用 | ・・・・・・・・・・ | 16 | |||
1-14 有機質肥料の安全性 | ・・・・・・・・・・ | 17 | |||
1-15 有機質肥料と亜硝酸ガスの発生 | ・・・・・・・・・・ | 18 | |||
1-16 有機質肥料の肥効と施用法 | ・・・・・・・・・・ | 19 | |||
第2章 植物による有機態窒素の直接吸収-無機態窒素だけでは説明出来ない植物の存在 | ・・・・・・・・・・ | 20 | |||
一部の植物が直接吸収するPEONの発見、アミノ酸や核酸は効くのか?・・・ | |||||
第3章 有機質肥料と土壌環境-土壌団粒を中心に | ・・・・・・・・・・ | 33 | |||
第4章 有機質肥料と作物品質-作物品質向上メカニズム | ・・・・・・・・・・ | 42 | |||
有機質肥料・まとめ | ・・・・・・・・・・ | 54 | |||
巻末解説(古細菌) | ・・・・・・・・・・ | 55 | |||
引用文献・参考文献 | ・・・・・・・・・・ | 56 | |||
後書き | ・・・・・・・・・・ | 57 | |||
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