有機質肥料と有機質資材の関係
最初に有機質肥料と有機質資材の関係を整理しておきたいと思います。本来肥料とは作物に必要な養分を供給することを目的に使用されます。一方で、土壌改良(土づくり)のために様々な有機物が施用されています。
有機物に含まれる炭素と窒素の比であるC/N比が概ね20くらいを境に窒素を土壌中に放出するか、窒素を取り込むかが変わってきます。多くの有機質肥料のC/N比は概ね10以下です。有機質肥料は、作物に対する養分供給を目的に施用されます。一方でイネわらやバーク堆肥などは、養分供給能は低く、土壌の物理性改善などの土壌改良を目的に施用されます。これらは、本来「有機質肥料」ではなく「有機質資材」に分類されるべき物です。ところが、本来の有機質肥料と有機質資材をひっくるめて有機質肥料とされている場合があることに注意しなければならないと思っています。
家畜糞堆肥などは土づくりのための一般的な資材です。家畜糞またはその堆肥は有効な窒素、りん酸、加里を含み、その意味では有機質肥料と言える物です。米糠またはその油かすは、土壌中での分解が遅く、養分供給能は低いと考えられます。特に、油を除いていない生糠の肥効はかなり低いことが知られています。これらの物は、肥料と資材の中間に位置する物であると言えます。有機質資材は注意して使わないと土壌の養分不均衡を招くことがあります。各地の畑土壌で起こっている富栄養価と養分不均衡は、土づくり目的で施用された家畜糞などに含まれる肥料養分を無視したことが一因であると考えられています。 |