有機質肥料の働きと効果
有機質肥料の効果について、一般的に図2-1にように整理できます。
有機質肥料に含まれる養分は緩効的な肥効を示すものが多く、比較的安全で長い肥効を示します。長く、安定した肥効が作物生育の安定と高品質生産に寄与していると考えられています。有機質肥料は、無機肥料と違って土壌の急激な塩類濃度上昇がなく、比較的安全に施肥することができます。
有機質肥料は、動植物などに由来する有機物ですから、様々な微量要素を含有しています。一般に微量要素含有量は僅かですが、有機質と結びついた有効度の高いものであるとも言われています。
有機質肥料は、無機肥料にはないアミノ酸や核酸などの有機成分を含んでいます。土壌中の分解過程でも様々な物質が生成されます。過大評価することは慎むべきだと思いますが、限定的ながら一定の効果を示している場合もあると考えられます。
土壌には様々な微生物が無数に生息しています。土壌微生物の9割は人の手によって培養できない種類だとも言われています。土壌微生物は直接、間接に植物の生育に大きな影響を及ぼしていると考えられています。土壌中における物質循環の担い手でもあり、地力養分の本体は土壌微生物です。有機質肥料は土壌微生物を増やすことが広く認められています。
効果の持続性は難分解性有機物より劣りますが、有機質肥料は短時間で土壌団粒生成を促進し、特に大型団粒の生成に深く関わっています。
腐植酸りん肥などの腐植を含む肥料以外でも、有機質肥料は土壌の腐植の材料になります。連用によってCECが大きくなることも報告されています70)。
これらの作用が複雑に絡み合って、生育や収量の安定、収穫物の品質向上に寄与していると考えられています。 |