有機質肥料WEB資料館

1-5　無機化に及ぼす土壌水分の影響

土壌の微生物活動は土壌水分の影響を受けます。そのため、有機質肥料の土壌中での無機化にも土壌水分が影響します。まず、本項では代表的な有機質肥料と尿素について畑状態の土壌水分を飽和容水量の30～70％に変化させた時の窒素無機化の経時変化を示しています。飽和容水量の30～70％の範囲での無機化は、土壌水分が多くなると若干遅れる傾向がみられるものの、それほど大きな違いはありません。一方、硝化率については、土壌水分が少なくなると、遅れる傾向にあるようです。土壌水分を植物が最も生育しやすい、飽和容水量の50～60％に保つことが、肥効の面でも良い結果をもたらすと考えられます。
下の図8-2は、熱可塑性樹脂被覆化成肥料の溶出に及ぼす土壌水分の影響をみたものです⁷⁵⁾。被覆肥料の肥効は、一般的に水中での溶出率によって評価されます。水中溶出特性は水田と考えて差し支えありません。被覆肥料からの成分溶出は、土壌が極端に乾燥している場合を除いて大きな影響はありません。被覆肥料の溶出は、水蒸気圧に影響されるため、まったく水分のない状態では溶出しませんが、ある程度の水分があれば、溶出に影響されることはありません。自然任せの有機質肥料に比べ、この点では被覆肥料に軍配が上がります。