有機質肥料WEB資料館

1-8　窒素肥効に及ぼす油脂の影響

図11-1は、抽油方法の異なる菜種油かすの畑土壌中での窒素無機化特性をみた結果です。抽油方法の違いによって、含まれる油分(エーテル抽出物)は1.3～9.1％でした。それほど大きな影響はありませんが、油分が多いほど見かけの無機化が遅れる傾向にありました。大杉ら⁸⁷⁾は、有機質肥料の成分と分解について検討した結果、エーテル抽出物は比較的よく分解するとしています。また、樋口⁷⁷⁾によれば、菜種油や大豆油は予想以上に早く分解するようです(図11-3)。硫安も、土壌中では微生物に取り込まれることで窒素の有機化が起こります。
樋口⁷⁷⁾は油脂類の硫安窒素の有機化に及ぼす影響をみています(図11-2)。硫安とともに油脂を土壌に施用すると、硫安の窒素が強く有機化されました。これは、油脂が土壌中で微生物によって分解される際に、硫安の窒素が微生物に取り込まれることで起こる現象です。菜種油かすにおいて、油分が多いほど無機化が遅れる傾向にありました。油脂による分解抑制よりも菜種油かすから無機化された窒素の再有機化が起こっていると考えるのが妥当ではないでしょうか。