1-9 有機質肥料の無機化特性(まとめ)
窒素の肥効の現れ方は、無機化特性が大きく影響します。野口32)が発表した有機質肥料の無期化に関するデータを、西尾26)が再整理して、窒素無機化特性から3つのグループに分けました。表12-1は、西尾の表を分かり易くするため、赤字の部分を演者が書き加えたものです。乾血、フェザーミール、大豆油かす等は早くから肥効を現す速効性タイプの有機質肥料であると同時に、長い期間無機化が続くことで長い肥効を現すタイプです。
魚かすや肉かすは、無機化が速く速効性ですが、無機化の持続性がなく、比較的早く肥切れすると考えられるタイプです。
菜種油かす、蒸製骨粉、カニがら等は、長く肥効が持続する反面、無機化率そのものが低く、肥効率(窒素の吸収利用率)が低いと考えられるタイプです。
有機質肥料は、その種類によって窒素の無期化特性は異なっていますが、実験室内で行う無機化試験(25℃または30℃)の結果では、最初の30日くらいは旺盛に無機化してきますがその後は緩慢になる例が多いと思います。
無機化は、土壌の温度によっても変わります。15~10℃を下回ると、特に初期の無機化が強く抑制され、硝酸化成をほとんど起こさなくなります。一般の圃場では、真夏以外では地温が30℃になることは少なく、室内の培養試験で得られた結果より遅く、長くなると言われています。図12-1は郡司掛10)がメロン栽培圃場で行った無機化試験の結果です。概ね1ヶ月半くらいは無機化が起こっていますが、それを過ぎると無機化量は僅かです。スライド9でみた植物油かすは、畑地で約20日、水田で約40日程度無機化が継続しています。これらのデータから考えて、有機質肥料の肥効は、畑地で1ヶ月、水田でも1.5ヶ月くらいではないかと考えられます。 |