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新有機質肥料講座(総論編)ページ18/57
1-15 有機質肥料と亜硝酸ガスの発生 多肥のハウス土壌から発生した亜硝酸ガスによって甚大な被害がもたらされることがあります。1962年頃の高知県において、極端な場合ハウス内の野菜が1~2日ですべて枯れるような激しい障害が生じました。高知農試によって、障害の原因が土壌から発生した亜硝酸ガスによるものであることが突き止められ、その発生機構と対策が明らかにされました33, 34, 25)。土壌に尿素を添加すると、その分解に伴いアンモニアが放出され、土壌pHがアルカリ側に上昇します。この段階ではアンモニアの毒性で亜硝酸酸化細菌の活性が阻害され、土壌中にかなり多量の亜硝酸が集積します。この段階で揮散するのはアンモニアで、亜硝酸ではありません。その後アンモニアはアンモニア酸化細菌の働きによって亜硝酸に酸化されるのに伴い、pHは徐々に低下、亜硝酸は亜硝酸酸化細菌によって硝酸に酸化され、亜硝酸は消失します。しかし、土壌pHがさらに5近くまで低下すると、ふたたび土壌中に亜硝酸が蓄積、亜硝酸ガスが発生するようになります。尿素を弱酸性土壌に施用すると、初期は土壌中に亜硝酸蓄積は認められませんが、硝化作用の進行に伴ってpHが5近くまで低下すると、やはり亜硝酸の蓄積とガス化が起こります。pH5近くでは硝化細菌の活性が低下しますが、アンモニア酸化細菌(アンモニア→亜硝酸の反応を担う)に比べ、相対的に亜硝酸酸化細菌(亜硝酸→硝酸)の活性低下が著しく、亜硝酸が土壌中に蓄積されると考えられています。pH5近くでは亜硝酸が容易にガス化し、生育障害を起こします。その後、永井ら22, 23, 24)は、ハウス土壌を通気の悪い状態に放置すると、特に硝酸含量の高い土壌ではpH6前後でも相当量の亜硝酸ガスが発生することを認めました。発生原因や対策の詳細は、橋田33, 34)に詳述されています。 |
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新有機質肥料講座(総論編)トップページ | |||||
有機質肥料と有機質資材の関係 | ・・・・・・・・・・ | 1 | |||
有機質肥料の働きと効果 | ・・・・・・・・・・ | 2 | |||
第1章 土壌中での分解特性から見た有機質肥料の肥効と安全性 | ・・・・・・・・・・ | 3 | |||
1-1 有機質肥料の窒素無機化 | ・・・・・・・・・・ | 4 | |||
1-2 無機化した窒素の硝酸化成_ | ・・・・・・・・・・ | 5 | |||
1-3 有機質肥料の硝酸化成抑制作用 | ・・・・・・・・・・ | 6 | |||
1-4 無機化に及ぼす地温の影響 | ・・・・・・・・・・ | 7 | |||
1-5 無機化に及ぼす土壌水分の影響 | ・・・・・・・・・・ | 8 | |||
1-6 畑地と水田での無機化特性の比較 | ・・・・・・・・・・ | 9 | |||
1-7 施肥時期と窒素無機化 | ・・・・・・・・・・ | 10 | |||
1-8 窒素肥効に及ぼす油脂の影響 | ・・・・・・・・・・ | 11 | |||
1-9 有機質肥料の無機化特性(まとめ) | ・・・・・・・・・・ | 12 | |||
1-10 有機質肥料の窒素肥効 | ・・・・・・・・・・ | 13 | |||
1-11 有機質肥料の施用効果(露地) | ・・・・・・・・・・ | 14 | |||
1-12 有機質肥料の連用効果(ハウス) | ・・・・・・・・・・ | 15 | |||
1-13 有機質肥料の発芽抑制作用 | ・・・・・・・・・・ | 16 | |||
1-14 有機質肥料の安全性 | ・・・・・・・・・・ | 17 | |||
1-15 有機質肥料と亜硝酸ガスの発生 | ・・・・・・・・・・ | 18 | |||
1-16 有機質肥料の肥効と施用法 | ・・・・・・・・・・ | 19 | |||
第2章 植物による有機態窒素の直接吸収-無機態窒素だけでは説明出来ない植物の存在 | ・・・・・・・・・・ | 20 | |||
一部の植物が直接吸収するPEONの発見、アミノ酸や核酸は効くのか?・・・ | |||||
第3章 有機質肥料と土壌環境-土壌団粒を中心に | ・・・・・・・・・・ | 33 | |||
第4章 有機質肥料と作物品質-作物品質向上メカニズム | ・・・・・・・・・・ | 42 | |||
有機質肥料・まとめ | ・・・・・・・・・・ | 54 | |||
巻末解説(古細菌) | ・・・・・・・・・・ | 55 | |||
引用文献・参考文献 | ・・・・・・・・・・ | 56 | |||
後書き | ・・・・・・・・・・ | 57 | |||
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