2-2 有機質肥料のアミノ酸・核酸分析例
表22-1と表22-2には、弊社で行った有機入り化成肥料中に含まれるアミノ酸と核酸関連物質の分析結果を示しました(未発表、本銘柄は現在登録失効)。この肥料は、有機質肥料を97%(原料配合重量割合)、含有窒素成分とりん酸成分の全量が有機質肥料に由来するものです。全加水分解アミノ酸(蛋白質等を形成するアミノ酸、遊離アミノ酸を含むアミノ酸全量)のうち、遊離アミノ酸の占める割合は2.5%でした。アミノ酸の遊離率はプロリンが最も高く、7.1%で、次いチロシン5.8%でした。その他のアミノ酸の遊離率は、0.6~4.4%でした。核酸類を調べると、ヌクレオシドとヌクレオチドが1%弱、リボ核酸(RNA)を0.6%含有していました。
1960年頃から1980年代にかけて、アミノ酸の作物生育に対する有効性が報告されました14, 52, 53, 84) 。その後、中国農試89)は、土壌に施用されたアミノ酸の25%前後が土壌微生物に取り込まれ、施用後1週間ですべて消失していることを報告しました。また、山室ら61)によれば、2~3日でほとんどのアミノ酸がアンモニアに変化したと推定されています。
この分析例にある肥料を200kg/10a施用すると、持ち込まれるアミノ酸量(土壌中で蛋白質から生成される量は含まず)は、わずか数グラム/10aからプロリンでも40グラム/10a程度です。有機質肥料に含まれる遊離アミノ酸が直接作物に作用するとは考えられません※。何らかの作用が期待できるとしたら土壌中の分解過程で生成されるアミノ酸でしょう。核酸類についても同様のことが言えるのではないでしょうか。
※アミノレブリン酸(ALA)は、わずか数グラム/10aで高い効果を示す。 |