4-1 有機質肥料(資材)の施用と作物品質
表43-1は、堀田37)が取りまとめ結果を基に筆者が加筆したものです。堀田の取りまとめ結果の内、堀田が引用した原著論文が入手できなかったものは、引用先を堀田の総説37)として表示しました。
有機質肥料(一部は資材)の施用(有機・無農薬栽培含む)と作物品質をみました。表の桃色に塗られた行は何らかの品質向上効果が認められた結果、黄色に塗られた行は効果が認められなかった結果を示しています。有機質肥料(資材)の施用によって品質の向上が得られたという結果が多数報告されています。反面効果がなかったという例も少なからず存在しています。
トマトでは収穫果房や収穫年によって食味は変動すること63)や果実中窒素含量が変動すること50)が報告されています。森50, 51)は、果菜類は果房ごとに収穫されるので、その時々の収穫前数日間の気象や土壌などの環境要因が大きく影響していると述べています。有機質肥料や資材を施用すれば必ず高品質生産に繋がるとは言えませんが、総合的に栽培条件を見直し、有機質肥料を使うことで作物品質の向上が可能になることは確かではないでしょうか。
次のスライド以降では有機質肥料によって品質向上が得られた事例を詳しくみていき、有機質肥料の施用による作物品質向上メカニズムを考察してみたいと思います。特に内部品質(糖などの含有量)は、土壌水分の影響が最も大きいと考えられますが、土壌水分の安定に果たす有機質肥料の役割が大きいことは第
3章で述べた通りです。有機質肥料の施用が作物品質向上に効果があるとすれば、有機質肥料による土壌物理性改善効果と窒素の緩効的な肥効で説明できます。 |