有機質肥料WEB資料館

4-4　蛋白・糖含量と貯蔵性の関係

矢野･速水⁵⁶⁾は、レタスの蛋白含量の低い品種ほど収穫後の鮮度保持に優れていること(図46-1A)、糖含量が高いほど鮮度保存性が高いこと(図46-1B)を報告しました。また、有機質肥料区のキャベツは糖含量が高く、鮮度保持日数が長いことを示しています(図45-2)。これらの結果から、保存性に対する影響は蛋白含量より糖含量の影響が大きく、貯蔵性の高いレタスに具備すべき条件として、呼吸の基質となる糖含量の高さをあげました。また、キャベツにおいて施肥条件を変えて、貯蔵性を検討しました。レタス同様に糖含量と貯蔵性が密接に関連すること、有機質肥料の施用によって糖含量が高く、貯蔵性に優れたキャベツが収穫されました(図46-2)。
森^{50, 51)}は、有機物施用と作物品質向上に関する著述の中で、糖含量と貯蔵性について、次のように述べています。収穫されたことで養分供給が絶たれると、光合成による炭酸ガス固定速度より呼吸による炭酸ガス放出速度が上回るようになり、次第に乾物重の減少を招来する(図46-3)。このような一連の生化学反応が遅延するということは、貯蔵性が高いと言うことと等価であり、糖分が高い、すなわち保存中の呼吸基質としての糖分ストックが多い方が、他の組織を分解して呼吸基質を得るに至る過程を引き延ばすことが出来る。