有機質肥料WEB資料館

1-3　有機質肥料の硝酸化成抑制作用

図6-1は、前ページの表5-1の結果を整理してグラフにしたものです。施肥量の違いが硝酸化成の進行に大きく影響することがよく分かります。
表5-1（前ページ）でも明らかなように、植物油かす類、特に菜種油かすでは、施用初期の硝酸化成が抑制されています。菜種油かすには土壌中の硝酸化成を抑制する物質が含まれている可能性が議論されています。表6-1⁷⁰⁾は、有機質肥料の水抽出液と尿素を同時に施用し、尿素の硝酸化成を経時的にみた結果です。同時に菜種油かす、ひまし油かす、魚かすの抽出液の硝酸化成をみています。この結果によると、尿素単体施用に比べて菜種油かすの抽出液を加えた区では、硝酸化成が強く抑制されています。一方で、ひまし油かすの抽出液や魚かすの抽出液を加えた場合の影響はほとんどありません。これら有機質肥料の水抽出液の硝酸化成をみても、菜種油かす抽出液の硝酸化成が特異的に抑制されています。菜種油かすには強い発芽抑制作用、活着阻害作用があることが広く知られています(スライド16)。菜種油かすなどに含まれる硝酸化成抑制物質と発芽抑制物質はともに水溶性成分であり、両者の関係性（同一物質の可能性）が疑われていますが、原因物質の特定には至っておりません。