有機質肥料WEB資料館

新有機質肥料講座(総論編)ページ15/57

スライド15:有機質肥料の連用効果(ハウス)

1-12 有機質肥料の連用効果(ハウス)

露地においては、有機質肥料区の収量は無機区に及びませんでした。この結果は、有機質肥料の窒素無機化特性の影響だと考えられました。では、ハウス栽培ではどうでしょうか。米澤70)による20作に及ぶ有機質肥料連用試験の結果をみてみましょう。図15-1は、各作の無機肥料区の収量を100とする有機質肥料区の収量指数の変化を示した図です。初作のメロンを除けば有機質肥料区の収量が無機肥料区より高くなっています。露地とは異なった結果が得られています。概ねホウレンソウやセルリーで、増収効果が大きく、トマトやキュウリでは無機区との差が小さくなっています。
土壌化学性の推移を見ると、無機区の土壌pHが有機区より常に低く推移し、電気伝導率(EC)は高く推移しています。無機区は硝酸含量が常に高く、pHの低下とECの上昇をきたしたと考えられます。露地では、有機質肥料の窒素無機化に影響された結果、有機質肥料区の収量は無機肥料に及びませんでした。反面、多肥になりやすく、表土に塩類集積を起こしやすい環境にあるハウス栽培では、無機態窒素の供給が緩効的な有機質肥料が有利であったと考えられます。米澤70)は、生育、収量、養分吸収量、品質、土壌の理化学性に及ぼす影響を詳細に見ています。コマツナ、セルリーでは、有機区の窒素含有率が低く、リン、カリウムは高くなっていました。品質面では、糖度、ビタミンC、クロロフィル等が有機区で高く、保存性にも優れていました。土壌理化学性の面では、試験開始前原土のCECは31.3me/100g乾土、無機区平均では32.8me/100g乾土に対し有機区のそれは36.3me/100g乾土でした。大型団粒生成割合が有機区において常に高く推移しています。これは生育のみならず収穫物の品質向上に有利に働いたと考えられます。土壌物理性と品質、有機質肥料による団粒生成促進効果については後ほど詳しくみていきます。

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有機質肥料と有機質資材の関係 ・・・・・・・・・・ 1
有機質肥料の働きと効果 ・・・・・・・・・・ 2
第1章 土壌中での分解特性から見た有機質肥料の肥効と安全性 ・・・・・・・・・・ 3
1-1 有機質肥料の窒素無機化 ・・・・・・・・・・ 4
1-2 無機化した窒素の硝酸化成_ ・・・・・・・・・・ 5
1-3 有機質肥料の硝酸化成抑制作用 ・・・・・・・・・・ 6
1-4 無機化に及ぼす地温の影響 ・・・・・・・・・・ 7
1-5 無機化に及ぼす土壌水分の影響 ・・・・・・・・・・ 8
1-6 畑地と水田での無機化特性の比較 ・・・・・・・・・・ 9
1-7 施肥時期と窒素無機化 ・・・・・・・・・・ 10
1-8 窒素肥効に及ぼす油脂の影響 ・・・・・・・・・・ 11
1-9 有機質肥料の無機化特性(まとめ) ・・・・・・・・・・ 12
1-10 有機質肥料の窒素肥効 ・・・・・・・・・・ 13
1-11 有機質肥料の施用効果(露地) ・・・・・・・・・・ 14
1-12 有機質肥料の連用効果(ハウス) ・・・・・・・・・・ 15
1-13 有機質肥料の発芽抑制作用 ・・・・・・・・・・ 16
1-14 有機質肥料の安全性 ・・・・・・・・・・ 17
1-15 有機質肥料と亜硝酸ガスの発生 ・・・・・・・・・・ 18
1-16 有機質肥料の肥効と施用法 ・・・・・・・・・・ 19
第2章 植物による有機態窒素の直接吸収-無機態窒素だけでは説明出来ない植物の存在 ・・・・・・・・・・ 20
一部の植物が直接吸収するPEONの発見、アミノ酸や核酸は効くのか?・・
第3章 有機質肥料と土壌環境-土壌団粒を中心に ・・・・・・・・・・ 33
第4章 有機質肥料と作物品質-作物品質向上メカニズム ・・・・・・・・・・ 42
有機質肥料・まとめ ・・・・・・・・・・ 54
巻末解説(古細菌) ・・・・・・・・・・ 55
引用文献・参考文献 ・・・・・・・・・・ 56
後書き ・・・・・・・・・・ 57

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