3-6 有機質肥料による土壌水分の安定
図39-1A、Bでは、静岡県磐田市の水田土壌を用いて、1株当たり20kg(乾土)に窒素30g相当の施肥後、メロン栽培を行いました。有機質肥料施用土壌では土壌水分状態が安定していることが示されています70)。
Aは、pF0.2(ほぼ飽和容水量)まで灌水を行い、土壌水分の経時変化を見ました。有機区は潅水後1時間でpF1.5まで土壌水分が減少し、6時間後には作物にとって好適水分であるpF1.8に達しました。一方無機区は、24時間経過後でもpF1.4という過湿状態を示しています。Bは、pF1.8という好適水分状態から始め、以後灌水を中断しました。有機区は1週間後でもpF2.8を維持しています。一方無機区は、5日後にpF2.8、1週間経過後には初期しおれ点(pF3.8)に近いpF3.4まで乾燥していました。この試験で、有機質肥料区はpF2.8が恒常的に維持されました。
pF2.8という値は、ゆるい水ストレスであり、収穫されたメロンは糖含量が高く、保存性にも優れていました51)。この結果は、有機質肥料の施用によって土壌水分状態が安定し、それによって作物品質が向上されることを示した意義あるデータだと考えられます。

pF(水分張力を表す単位の一つ)81)
水が土壌に吸着・保持されている強さの程度を表す。土壌の水分状態を示す数値であり、含水量を示すものではない。数値が小さいほど過湿な状態、数値が大きいほど乾燥した状態にある。黒ぼく土pF1.8以下、非黒ぼく土pF1.5の水は重力によって土壌孔隙から排水される水であり、過剰水とも言う。過剰水は作物に湿害を招く要因となる。黒ぼく土pF1.8、非黒ぼく土pF1.5からpF2.7~3.0までの水を易効性有効水といい、植物が容易に吸収できる水。植物はpF1.5~4.2までの水を吸収することができるが、pF3.8を初期しおれ点、pF4.2を永久しおれ点と呼ぶ。飽和容水量のときpF0、圃場容水量(十分な降雨や潅漑の後1~2日経過し重力水が排水された状態)のとき黒ぼく土pF1.8(非黒ぼく土pF1.5)、105℃で完全に乾燥した状態のときpF7.0。 |